【テクニカル分析】移動平均線のデッドクロスを徹底解説!
「ゴールデンクロスは分かったけど、デッドクロスって何?」
「デッドクロスを使う際の注意点は何?」
移動平均線の概要が分かっても、具体的な使い方が分かっていなければ、意味がありません。
そこで今回は、別記事で解説した「ゴールデンクロス」の対義語である「デッドクロス」について解説していきます。
- ゴールデンクロスについておさらい
- デッドクロスとは
- デッドクロスを活用する際の注意点
- デッドクロスの活用法
ゴールデンクロスについておさらい
ゴールデンクロスとは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上に交差することを指します。
ゴールデンクロスは直近の相場が上がり基調であることを示唆していることから、買いシグナルとして利用されることが多いです。
ゴールデンクロスに関する記事は、以下のリンクからご参照ください。
デッドクロスとは
デッドクロスは移動平均線を用いたテクニカル分析の一つで、ゴールデンクロスと対をなしています。
ゴールデンクロスが相場の上昇局面を示唆しているのに対して、デッドクロスは相場の下降局面を示唆していることから、売りシグナルとして利用されることが多いです。
ここでは、デッドクロスに関して以下の3つを解説していきます。
- デッドクロスの発生条件
- デッドクロスの仕組み
- デッドクロスの出現頻度と期間設定
デッドクロスの発生条件
デッドクロスの発生条件は、
- 長期の移動平均線が横ばい、または下向きのときに
- 短期の移動平均線が長期の移動平均線を上から下に交差
以上のようになります。
上図は短期の移動平均線25SMAと長期の移動平均線50SMAのデッドクロスが発生した様子です。
デッドクロスが発生した後は、相場が下降局面にはいっていることが分かると思います。
デッドクロスの仕組み
ではなぜデッドクロスが売りシグナルを意味するのでしょうか。
それを理解するためには、デッドクロスが発生する仕組みをしっかり理解しておく必要があります。
以下では、移動平均線の定義を確認しつつ、デッドクロスの仕組みを丁寧に解説します。
- 長期の移動平均線は直近の相場を反映しにくい
- 長期と短期の移動平均線の挙動の違いを比較
- デッドクロスが売りシグナルの理由
長期の移動平均線は直近の相場を反映しにくい
そもそも移動平均線(単純移動平均線)の求め方は、以下の通りです。
単純移動平均線=(本日の終値+1日前の終値+2日前の終値….+n-1日前の終値)/n
nは移動平均線の期間
以上の式からわかるように、移動平均線では、期間”n”が大きいほど抽出する終値の数が多くなり、直近の終値の値を反映しにくくなります。
この感覚を掴んでもらうために、以下の8つの数値の移動平均線の結果を「長期:5日間」と「短期:3日間」で比較してみましょう。
単純移動平均線については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
長期と短期の移動平均線の挙動の違いを比較
終値 | 5日移動平均線(長期) | 3日移動平均線(短期) |
---|---|---|
7日前の終値:119 | 値なし | 値なし |
6日前の終値:121 | 値なし | 値なし |
5日前の終値:120 | 値なし | (119+121+120)/3=120 |
4日前の終値:122 | 値なし | (121+120+121)/3=120.6 |
3日前の終値:124 | (119+121+120+122+124)/5=121.2 | (120+121+124)/3=121.6 |
2日前の終値:105 | (121+120+122+124+105)/5=118.4 | (121+124+105)/3=117 |
1日前の終値:116 | (120+122+124+105+116)/5=117.4 | (124+105+116)/3=115 |
本日の終値:114 | (122+124+105+116+114)/5=116.2 | (105+116+114)/3=111.6 |
この表で注目したいのが、2日前の終値105が、ここ数日の中で最も大きな値動きだったことです。
5日移動平均線では、大きな値動きが発生にそこまで影響されず、なだらかな右肩下がりの移動平均線を描きました。
長期の移動平均線では、計算に過去の終値を多く含むため、直近の強い値動きが薄まってしまいます。
一方で3日移動平均線は、大きな値動きが計算結果に色濃く反映されるため、急激な下降の移動平均線を描いていることが分かります。
デッドクロスが売りシグナルの理由
短期の終値の平均が長期の終値の平均を下回るということは、直近の相場では長期的な水準からみても安値でトレードされている傾向にあることを示しています。
つまり、市場参加者の多くが買いポジションの利益確定のための売りや、新規の売りポジションを建てていると推測できます。
したがって、売りの勢力が拡大してきていることを示しているデッドクロスは、売りシグナルを意味していると言うことができるのです。
デッドクロスの期間設定
ゴールデンクロスやデッドクロスを効果的に使うためには、移動平均線の期間設定が大切です。
移動平均線のオススメの期間設定は、
- 短期:5 長期:25
- 短期:13 長期:26
- 短期:20 長期:50
- 短期:25 長期:75
以上の通りです。
こちらの記事でも説明しているので、ぜひ参考にしてみてください。
デッドクロスを活用する際の注意点
デッドクロスを活用する際は、ゴールデンクロスを活用する際と、同様の点について注意する必要があります。
- ダマシが多い
- 長期の移動平均線の傾きに気を付ける
- エントリータイミングが遅れる
詳しくはゴールデンクロスを解説した記事で解説しているので、参考にしてみてください。
デッドクロスの活用方法
ここでは、移動平均線を25SMA、50SMA、100SMAの3本表示させた場合の、デッドクロスの活用方法を解説していきます。
3本表示させることで、エントリーシグナル用の移動平均線と決済シグナル用の移動平均線を使い分けることができます。
まず、25SMAと100SMAのデッドクロスを確認したら、売りでエントリーを行います。
価格が進行して、価格に勢いがなくなってくると、25SMAは上向きとなり50SMAとゴールデンクロスするので、ここで決済を行います。
3本の移動平均線を使用したトレード手法に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
エントリーと決済の移動平均線を使い分けた理由
このトレードでは、25SMAをメインの移動平均線とおき、50SMAと100SMAをエントリー用と決済用で使い分けました。
ここではその理由を解説します。
ゴールデンクロスやデッドクロスを用いたトレード手法の弱点は、
- ダマシが多い
- 決済タイミングが遅れる
以上のようなものがあります。
エントリーシグナルのダマシを減らすためには、トレンドが発生したのを確認した後にエントリーする必要があります。
したがってエントリーシグナルには、最も価格の反映が遅い100SMAとのデッドクロスを採用しました。
また、決済タイミングが遅れないためには、トレンドの勢いが失われたらすぐに決済を行う必要があります。
したがって決済シグナルには、早めに25SMAと交差する50SMAを採用しました。
パーフェクトオーダーについて
移動平均線を3本表示させるテクニカル分析はかなり有名なので、覚えておきましょう。
上図のように期間の異なる3つの移動平均線が、すべて同じ方向を向いている状態のことを、パーフェクトオーダーといいます。
パーフェクトオーダーが形成されている相場には、3つの移動平均線が向いている方向に、強いトレンドが発生していることを示唆しています。
まとめ
ここまで移動平均線によるテクニカル分析の一つ、デッドクロスについて解説してきました。
本記事の要点は以下の3つです。
- デッドクロスは、短期の移動平均線が長期の移動平均線を、上から下に交差することを指し、売りシグナルになる
- デッドクロスの際は、移動平均線の傾きに注意する
- ゴールデンクロスやデッドクロスを用いる際は、ダマシや決済タイミングの遅れに注意する