ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせるメリットとは?2つの取引手法を紹介
ボリンジャーバンドとは、投資家「ジョン・ボリンジャー」によって作られたトレンド系インジケーターです。
ボリンジャーバンドには、トレンド方向が分かるセンターバンドとボラティリティが分かるσラインがあり、インジケーター1つで取引を完結できます。
加えて、移動平均線をもとにして開発されたオシレーター系インジケーター「MACD」を組み合わせることで、ボリンジャーバンドの売買サインの精度を高められます。
「ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせるメリットとは」
「ボリンジャーバンドとMACDをどのように組み合わせればよいのか」
ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせると聞くと、上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論、ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせる手法は、順張りと逆張りの両方で利用できます。
また組み合わせることで、トレンド転換が分かりづらいというボリンジャーバンドの欠点を解消できます。
この記事では、ボリンジャーバンドとMACDの組み合わせについて、概要から、メリット、具体的な取引手法に至るまで以下の7つの項目で詳しく解説していきます。
- ボリンジャーバンドとは
- MACDとは
- MACDの基本的な使い方
- ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせるメリット
- ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせた取引手法
- MACDが上下に張り付くのには注意
- まとめ
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとは、投資家「ジョン・ボリンジャー」によって開発されたトレンド系インジケーターです。
ボリンジャーバンドは「センターバンド(移動平均線)」と、移動平均線からの価格のばらつき具合を表す「σライン」の2つで構成されます。
センターバンドの使い方は、通常の移動平均線と同じです。移動平均線の傾きや方向からトレンドの向きや強さが分かります。
またσラインには、主に±1σ、±2σ、±3σの6種類があります。
σラインの計算には、ばらつきを表す統計指標「標準偏差」が利用されているので、σラインの拡大や縮小を見ることで、相場におけるボラティリティの高さが分かるのです。
ボリンジャーバンドついては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫ボリンジャーバンドとは?見方やテクニカル分析での使い方を解説!
MACDとは
MACD(Moving Average Convergence Divergence)とは、移動平均線をもとにして開発されたオシレーター系インジケーターです。
日本語では「移動平均線収束拡散」とも呼ばれます。
MACDでは、移動平均線が用いられることもあり、RSIやストキャスティクスのような他のオシレーターと違い、トレンドの把握に向いています。
またMACDで使用される移動平均線は、SMA(単純移動平均線)ではなく、直近の価格を重視して平均値を算出するEMA(移動平均線)です。
≫MACDとは?基本的な見方や移動平均線と組み合わせた取引手法も紹介!
MACDを構成する3つの要素
MACDを構成する要素は、短期EMA(12期間)と長期EMA(26期間)をベースに算出された、以下の3つです。
- MACDライン:短期EMAと長期EMAの差を表す
- シグナルライン:MACDラインの単純移動平均線
- ヒストグラム:MACDラインとシグナルラインの差を表す
1つ目のMACDラインは、短期EMAから長期EMAを引いた値を表します。
≫指数平滑移動平均線(EMA)の設定や利用方法をわかりやすく解説
2つ目のシグナルラインは、一般的にMACDラインの値を9期間で算出した平均値を表します。
平均化しているので、シグナルラインはMACDラインよりも傾きが緩やかになります。
最後のヒストグラムは、MACDラインとシグナルラインの差を表すグラフです。MACDラインとシグナルラインが交差するとヒストグラムの値はゼロになります。
MACDの基本的な使い方
MACDの基本的な使い方として以下の3つを解説します。
- MACDラインとシグナルラインの交差
- MACDラインとシグナルラインの0ラインにおける交差
- ダイバージェンス
その1:MACDラインとシグナルラインの交差
MACDでは、MACDラインとシグナルラインの2つを使って売買タイミングを判断するのが基本です。
MACDラインとシグナルラインの交差を見ると、以下のようなトレンド発生のサインがわかります。
- MACDラインがシグナルラインを上抜ける:上昇トレンドの発生
- MACDラインがシグナルラインを下抜ける:下落トレンドの発生
MACDラインがシグナルラインを上抜ける(ゴールデンクロス)と、直近における相場価格の上昇が強まっているということなので、上昇トレンド発生のサインです。
同様にMACDラインがシグナルラインを下抜ける(デッドデンクロス)と、下落トレンド発生のサインです。
その2:MACDラインとシグナルラインの0ラインにおける交差
MACDラインとシグナルラインの0ラインにおける交差を見ると、以下のサインが分かります。
- MACDラインとシグナルラインが0ラインを上抜ける:上昇トレンドの継続
- MACDラインとシグナルラインが0ラインを下抜ける:下落トレンドの継続
MACDラインとシグナルラインがゴールデンクロスし、かつ0ラインも上抜けると、発生した上昇トレンドが継続する可能性が高いと分かります。
同様にMACDラインとシグナルラインがともに0ラインを下抜けると、発生した下落トレンドが強いことが分かるのです。
エントリーシグナルとしてMACDラインとシグナルラインの交差を、ポジションを保有し続けるかのシグナルとして0ラインとの交差を使います。
その3:ダイバージェンス
ダイバージェンスとは、MACDの動きと為替相場の動きが逆行する現象です。このような逆行現象はトレンド転換を表します。
例えば為替レートが上昇しているにもかかわらず、MACDが下落していると、上昇トレンドが終了するサインだと判断できます。
ダイバージェンスは、ポジション決済や逆張り取引に利用できます。
ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせるメリット
ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせるメリットとして、以下の2つが挙げられます。
- 売買シグナルの精度が高まる
- トレンド転換のサインが明確になる
その1:売買シグナルの精度が高まる
新規エントリーから決済まで、ボリンジャーバンド1つでも取引を完結できますが、MACDを組み合わせることで、売買シグナルの精度がより高まります。
例えば、ボリンジャーバンドのセンターバンドが上を向いて、エクスパンションが発生している場合、上昇トレンドが発生する可能性が高いと判断できます。
そこでMACDのゴールデンクロスも確認できると、より自信を持って上昇トレンドだと判断できて、買いエントリーができるようになるのです。
その2:トレンド転換のサインが明確になる
ボリンジャーバンドのデメリットとして、トレンド転換のサインが分かりにくいという点が挙げられます。
ボリンジャーバンドには「ボージ」というトレンド転換サインがあります。
ボージとは、ボリンジャーバンドのバンド幅が最も拡大している状態を表しますが、ボリンジャーバンドだけでは最大限にσラインが拡大しているのか分かりづらいのです。
そこでボージ発生時にMACDでもダイバージェンスが確認できると、より強いトレンド転換のサインだと分かります。
ボリンジャーバンドのボージについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫ボリンジャーバンドのボージとは?見極め方やトレードでの活用方法を解説!
ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせた取引手法
ボリンジャーバンドとMACDを組み合わせた取引手法として、「順張り取引」と「逆張り取引」それぞれで利用できる手法を解説していきます。
その1:順張り取引
まずはボリンジャーバンドで、以下のような順張り取引のサインが発生しているか確認します。
- 買いの場合:相場価格が移動平均線より上かつ、1σラインを上回る
- 売りの場合:相場価格が移動平均線より下かつ、-1σラインを下回る
ボリンジャーバンドのサイン発生が確認できたら、MACDでも以下のような順張り取引のサインが発生しているかを確認しましょう。
- 買いの場合:MACDラインがシグナルラインを上抜ける
- 売りの場合:MACDラインがシグナルラインを下抜ける
ボリンジャーバンドとMACDの両方で売買サインが確認できたら、順張りエントリーをします。
ポジション決済は、±2σまたは±3σラインタッチ、損切りは相場価格が移動平均線を下回る(上回る)タイミングです。
ただしボリンジャーバンドでバンドウォークが発生したり、MACDラインが0ラインを上回ったりと強いトレンドが発生している場合、より長くポジションを保有できます。
長期間ポジションを保有する際は、MACDにおけるダイバージェンスの発生を決済タイミングにするとよいでしょう。
ボリンジャーバンドの順張り手法ついては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫ボリンジャーバンドの順張り手法を2つ紹介!順張りに向いている理由も解説
その2:逆張り取引
ボリンジャーバンドの±2σラインを使った逆張り取引は、最もオーソドックスな逆張り手法として知られています。
ただしボリンジャーバンドのみで逆張りをしてしまうと、トレンドに巻き込まれる可能性があります。
そこで±2σラインタッチでの逆張りに加えて、MACDにてダイバージェンスが確認できるとより強い逆張りサインになるのです。
ポジション決済は、センターバンドタッチ、損切りは±2σラインを上回る(下回る)タイミングです。
ボリンジャーバンドの逆張り手法ついては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫ボリンジャーバンドを使った逆張り手法を紹介!逆張りが使える状況も解説!
MACDが上下に張り付くのには注意
MACDとボリンジャーバンドを組み合わせることで、売買サインの精度をさらに高められます。
しかしボリンジャーバンドでバンドウォークが形成されるような強いトレンドが発生すると、MACDのようなオシレーターは上下どちらかに張り付いてしまうので注意です。
強いトレンドが長期間発生した場合、MACDが機能しなくなるので、ボリンジャーバンド単体で相場状況を確認するようにしましょう。
他のトレード指標が必要な場合は、複数の移動平均線を表示して異なる期間における相場トレンドを把握することがオススメです。
まとめ
ボリンジャーバンドとMACDについて、それぞれの特徴から、トレードで組み合わせるメリット、具体的な取引手法に至るまで詳しく解説してきました。
ボリンジャーバンドは、トレンドの方向性とボラティリティの高まりが分かるので、エントリーから決済までを1つでこなせます。
このような万能なインジケーター「ボリンジャーバンド」と「MACD」を組み合わせると、より売買サインの精度を高められるのです。
またボリンジャーバンドのトレンド転換のサインが明確ではないというデメリットも、MACDを組み合わせることで解消されます。
ただしあまりにも強いトレンドが発生すると、MACDのようなオシレーターは上下どちらかに張り付いてしまうので機能しなくなります。
MACDが機能しなくなった時のために、あらかじめ他のインジケーターを表示しておくこともリスク管理を行う上で大切です。