ボリンジャーバンドの計算方法を解説!標準偏差が表す意味も紹介!
ボリンジャーバンドとは、相場のトレンドや価格のばらつきを一目で確認できるトレンド系インジケーターです。
またボリンジャーバンドは、トレンド系インジケーターでありながら、バンドを利用して相場の過熱感を確認できるオシレーターの役割を持っています。
しかしバンドを正しく活用するためには、ボリンジャーバンドの計算方法を理解しておくことが不可欠です。
「ボリンジャーバンドの計算方法ってなんだか難しそう」
「計算方法を理解してどのようにトレードに使えるのか」
ボリンジャーバンドの計算方法と聞くと上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論として、標準偏差の概念さえ理解できれば、ボリンジャーバンドの計算方法は非常にシンプルです。
この記事では、ボリンジャーバンドの計算方法について、標準偏差の概念から、トレードでの活用方法にいたるまで以下の8つの項目で詳しく解説していきます。
- ボリンジャーバンドとは?
- ボリンジャーバンドで標準偏差を理解しなければいけない理由
- 標準偏差とは何なのかまず理解しておこう
- ボリンジャーバンドの計算方法
- ボリンジャーバンドの計算式を理解したうえでトレードで利用する
- ボリンジャーバンドのバンドが表す確率の注意点
- ボリンジャーバンドの計算式を理解した上でさらにうまく利用するためのポイント
- まとめ
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドとは、投資家「ジョン・ボリンジャー」が開発した、移動平均線をもとに相場のトレンドや価格のばらつきを確認できるトレンド系インジケーターです。
ボリンジャーバンドは「移動平均線」と、移動平均線からの価格のばらつき具合を表す「バンド」で構成されています。
移動平均線は一定期間の相場価格の平均値を表し、相場のトレンドや価格の相対的な位置を把握するのに役立ちます。
そして移動平均線の上下に配置されたバンドは、相場のボラティリティを表しており、価格の変動範囲を視覚的に確認可能です。
ボリンジャーバンドで標準偏差を理解しなければいけない理由
ボリンジャーバンドを利用するメリットは、相場のトレンドとボラティリティを一目で把握できる点です。
ボリンジャーバンドの構成要素の1つである「移動平均線」は聞きなれている方も多いかと思いますが、「バンド」はボリンジャーバンド特有の要素です。
ボリンジャーバンドを自在に使いこなすためには、バンドの仕組みや、どのような計算式で表示されているのかを理解しなければいけません。
そこで、ボリンジャーバンドの計算式を理解するために必要なのが「標準偏差」という概念なのです。
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標準偏差とは何なのかまず理解しておこう
標準偏差は、データのばらつきを示す統計学的な指標です。すなわちテクニカル分析における標準偏差とは、価格データのばらつきをあらわす指標ということになります。
ここではテクニカル分析における価格データのばらつきとは一体どういう計算式で算出されるのか見ていきましょう。
n日間における終値の標準偏差、つまり価格のばらつきを算出するための計算式は以下のようになります。
標準偏差 = √1/n × Σ(n日間の各終値 – n日間の終値の平均値)^2
まず各終値の価格データからn日間の終値の平均値を引いて2乗したものを、1~n日間それぞれ算出し、それぞれ足し合わせます。
そしてその合計値をnで割ったものの、平方根が標準偏差となり、n日間での終値データが平均値と比べてどれだけ散らばっているのか表します。
ボリンジャーバンドの標準偏差とは
ボリンジャーバンドで標準偏差を算出する際、n日間を移動平均線の期間に置き換えて計算をします。
すなわち、20日移動平均線をボリンジャーバンドで利用する際の標準偏差は、以下のような式になります。
標準偏差 = √1/20 × Σ(20日間の各終値 – 20日間の終値の平均値)^2
上記の式では、ボリンジャーバンドの各終値が、20日移動平均線の値からどれだけ散らばっているのかが計算されています。
したがって20日移動平均線に近い数値で終了した終値が多ければ多いほど、標準偏差は小さくなります。
ボリンジャーバンドの計算方法
標準偏差の仕組みを理解できたところで、実際にボリンジャーバンドの各バンドにおいてどのように標準偏差が利用されているのかみていきましょう。
ボリンジャーバンドは、一般的に以下の4つの要素で構成されています。
- 移動平均線
- ±1σ
- ±2σ
- ±3σ
4つの要素の中で、±1~3σのラインが移動平均線をもとに標準偏差を利用して計算されたラインです。±1~3σの計算方法は以下の通りです。
- ±1σ = n日の移動平均線 ± n日の標準偏差
- ±2σ = n日の移動平均線 ± n日の標準偏差 × 2
- ±3σ = n日の移動平均線 ± n日の標準偏差 × 3
n日の移動平均線の数値に標準偏差を足したり、引いたりして±1~3σのラインが計算されていることが分かります。
バンドの計算もとになる、ボリンジャーバンドにおける移動平均線の期間設定については以下の記事を参考にしてください。
相場価格がバンド内に収まる確率が分かる
移動平均線をもとに標準偏差を利用してσラインを計算することで、バンド内に相場価格が収まる確率が分かります。
各バンド内に相場価格が収まる確率は以下の表の通りです。
バンド名 | 価格が収まる確率 |
---|---|
±1σ | 約68.3% |
±2σ | 約95.4% |
±3σ | 約99.7% |
1σから3σラインにかけて相場価格がバンド内に収まる確率が高くなり、3σラインにもなると約99.7%の確率で相場価格がバンド内に収まります。
また2σラインと3σラインとでは相場価格がバンド内に収まる確率がそれほど変わらないため、1σラインと2σラインのみ表示されることもあります。
ボリンジャーバンドの計算式を理解したうえでトレードで利用する
ボリンジャーバンドの計算式を理解したうえで実際にどのようなトレードで利用できるのかみていきましょう。
主に以下の3つのトレードでバンドは利用可能です。
- トレンドフォローの押し目として利用する
- トレンド転換を見越して逆張り取引をする
- トレンド転換の可能性がある位置で決済をする
例えばボリンジャーバンドの移動平均線が上を向いており上昇トレンドが確認できたとします。
トレンドフォロー取引をしたい場合は、-2σラインや-3σで相場価格が反発すると予想して、-2σラインまで価格が押してきた時に押し目買いができます。
また移動平均線が上昇トレンドを指しているが、相場価格がすでに+2σまたは3σラインに到達している場合、トレンド転換を狙た逆張りトレードで価格の下落を狙えます。
すでにトレンド方向にポジションを保有している場合、2σまたは3σラインを決済場所の目安とすることも可能です。
ボリンジャーバンドのバンドが表す確率の注意点
ボリンジャーバンドのバンドが表す「価格がバンド内に収まる確率」は、あくまでも〇〇%の確率で価格が収まる可能性があるだけであるということには注意しましょう。
ボリンジャーバンドのバンドは過去の価格を基に計算されているだけにすぎず、未来の価格がバンド内に収まる確率を示しているわけではないのです。
特にバンドを利用した逆張りトレードを行う際は、±2σ、±3σラインで価格が推移し続けてバンド内に価格が収まらない「バンドウォーク」が発生する可能性があるので注意です。
バンドが表す標準偏差はあくまでも過去の価格を基にした確率であることを理解し、最大限利用するためには、バンド以外の要素をもとに相場状況を理解するようにしましょう。
ボリンジャーバンドのバンドウォークについては以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ボリンジャーバンドの計算式を理解した上でさらにうまく利用するためのポイント
ボリンジャーバンドの計算式を理解した上で、さらにうまく利用するための以下の2つのポイントを最後に紹介していきます。
- ボリンジャーバンドが適している相場を見極める
- ファンダメンタル分析やインジケーターと組み合わせる
その1:ボリンジャーバンドが適している相場を見極める
ボリンジャーバンドを利用して取引をする際には、相場状況が適しているのかしっかりと見極めるようにしましょう。
たとえばボリンジャーバンドの標準偏差を利用した逆張りトレードは、レンジ相場に適しています。
レンジ相場を見極めるために、ボリンジャーバンドの移動平均線と価格の位置を確認したり、他のレンジ相場を確認できるインジケーターを利用したりすると良いでしょう。
またボリンジャーバンドの形を確認して、ボラティリティがあるのかどうかも確認するようにしましょう。
ボリンジャーバンドを使ったトレンドフォローをしたい場合は、ボラティリティが高い相場、逆張りトレードをしたい場合はボラティリティが低い相場であるか見極めましょう。
ボリンジャーバンドの形については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
その2:ファンダメンタル分析やインジケーターと組み合わせる
ボリンジャーバンドは単体でも強力なテクニカル分析ツールです。
しかしファンダメンタル分析や、ボリンジャーバンド以外のインジケーターも組み合わせることでトレードの精度をより高められます。
ファンダメンタル分析は経済指標や政治的な要因など、相場の長期的な流れを決める外的要素を分析して、相場の動向を予測する分析手法です。
ボリンジャーバンドを利用して、長い時間軸を見越した取引をする場合は、ファンダメンタル分析をして相場の大きな流れを把握するとよいでしょう。
またボリンジャーバンドにはトレンドを把握できる移動平均線が標準で確認できるので、相場の過熱感を確認できるオシレーターと組み合わせることがオススメです。
標準偏差をあらわしたバンドとオシレーターを利用することで、バンドを利用してトレンド転換を見極めるトレードの精度をより高められます。
≫テクニカル分析とファンダメンタル分析どっちを使うべき?使い分け方を解説!
まとめ
ボリンジャーバンドの計算方法について、計算の理解に必要な「標準偏差」の概念からボリンジャーバンドの計算結果の注意点に至るまで詳しく解説してきました。
ボリンジャーバンドは視覚的に相場状況が理解しやすく、初心者の方でもトレードに取り入れやすいインジケーターです。
しかし利用前にはバンドの仕組みや計算式を理解することが必要不可欠です。特に標準偏差の概念を把握することで、バンドの役割をより詳しく知れます。
仕組みをしっかりと理解したうえで、相場に100%はないということさえ念頭に置いておけば、ボリンジャーバンドは投資家にとって非常に有用なツールとなるでしょう。