本当に大陰線の翌日は売り?6年間の相場で検証

強い下落を示すローソク足といえば「大陰線」ですが、出現するとつい翌日も下落が続くと期待してエントリーしてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際の相場ではその期待が裏切られて反転上昇をするケースも少なくありません。
2019年1月〜2025年5月にかけて実際の相場で検証をしたところ、約35%が大陰線の翌日に上昇を見せることが分かりました。
この記事では、大陰線の翌日はどのようなローソク足が出やすいのかについて、事前に確認しておきたい取引条件や損切の設定方法なども含めて以下の項目で詳しく解説します。
- 大陰線の翌日に見られる3パターンのローソク足
- 大陰線の翌日に出やすいローソク足を相場で検証
- 大陰線の翌日でエントリーする前に確認しておきたい取引条件
- 大陰線を使ったトレードの損切り設定方法
- まとめ
大陰線の使いこなし方については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫大陰線とは?高値圏で発生するなど4パターンの見極め方を徹底解説
大陰線の翌日に見られる3パターンのローソク足
大陰線の翌日のローソク足は、大きく分けて以下の3パターンになる傾向があります。
- トレンドの継続を示唆する
- レンジ相場へ移行する
- トレンドが転換する
その1:トレンドの継続を示唆する
最も代表的なのが、大陰線の翌日でも下落トレンドが継続するパターンです。
ただし下落トレンドが継続する場合であっても、必ず陰線が登場するとは限りません。翌日に出現する可能性が高いローソク足としては、以下2つを考えておきましょう。
- 陰線
- 上ヒゲが長い陽線(下落の圧力が強い陽線)
特にトレンドの初期段階で大陰線が出現した場合、まだ下落余地があると判断されるため売り心理の高まりが続き、翌日以降も下落が続きやすい傾向にあります。
さらに下落の勢いが特に強い場合は、翌日に窓を開けてギャップダウンで始まり急落が続くケースもあります。
相場の天井で出現するローソク足のパターンについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫高値圏で現れるローソク足の天井パターン8選|使いこなすためのコツも紹介
その2:レンジ相場へ移行する
下落トレンドは崩れないものの、大陰線の翌日のローソク足が小さな陽線や陰線となって一時的にレンジ相場へ以降するパターンもあります。
前日の急落によって一旦売りの材料が出尽くしたことで、多くのトレーダーが様子見にまわろうとする心理が働きレンジ相場へ移行します。
したがって、下落トレンドの中盤や前日に大きく下落しすぎた場合に出現する可能性が高いです。
また大陰線の翌日にレンジ相場へ移行する代表例として、はらみ足(インサイドバー)が挙げられます。
大陰線が出現した後、次のローソク足はその実体内で推移し、下方向へブレイクすると下落トレンド継続となります。
はらみ足については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫包み足とはらみ足とは?違いや見極めに役立つインジケーターも紹介
その3:トレンドが転換する
大陰線が出現したにもかかわらず、翌日に強い陽線が出て相場が一気に上昇へ転じることもあります。
特に安値圏では、ラスト1本の大陰線の出現によって売りの材料が出尽くした結果、下落が続かず上昇の勢いが巻き返すことでトレンドが転換してしまうのです。
このようなトレンド転換が発生しやすい代表的なプライスアクションが、包み足(陽線の包み足)です。
安値圏で出現した大陰線の翌日に、その陰線を包み込むような陽線が出現するパターンがトレンド転換シグナルとなります。
大陰線の翌日に出やすいローソク足を相場で検証
大陰線の翌日にどのようなローソク足が出現しやすいのかを実際の相場で検証してみました。
検証条件は以下の通りです。
- 銘柄:ユーロドル月足
- 時期:2019年1月1日~2025年5月31日
- 前月比2.0%以上下落して終値が確定している
- 実体よりもヒゲの長さが長い
上記の条件に合致する大陰線は合計16本出現しました。そして翌月のローソク足パターンを分類した結果は以下の通りです。
翌日のローソク足パターン | 回数 |
トレンドが継続する | 9回 |
レンジ相場へ移行する | 2回 |
トレンドが転換する | 6回 |
検証結果より、最も多いのは下落トレンドが継続するパターンで、次に多いのがトレンド転換をするパターンとなりました。
通常上昇よりも下落のほうが短期間で大きな値幅が変動する傾向にあります。
したがって、一度下落トレンドが発生するとそのままトレンドが継続するケースが多かったのだと考えられます。
大陰線の翌日でエントリーする前に確認しておきたい取引条件
大陰線の翌日は、一般的な認識通り下落トレンドが続きやすいことが検証結果からもわかりました。
しかし大陰線が出現したにもかかわらず上昇へ転換する場面も少なくないので、エントリー前には以下の条件が揃っているか確認しておくとより取引精度を高められます。
- 相場全体が下落トレンドであるかどうか
- 安値圏でないかどうか
- なぜ下落したのかが裏付けられているかどうか
相場全体が下落トレンドであるかどうか
相場全体が下落トレンドであると、大陰線の翌日も陰線が出現する確率が高まります。
一方で上昇トレンドやレンジ相場で出現した大陰線は、押し目で終わったり、下落トレンドとまではなりきれなかったりするケースが多いので注意しなければなりません。
相場全体が下落トレンドであるかどうかを確認するための最もシンプルな方法は、移動平均線を活用することです。
たとえば100SMAや200SMAといった長期の移動平均線が右肩下がり、かつ現在価格が移動平均線の下に位置していれば下落トレンドだと簡単に判断できます。
さらに信頼性を高めるためには、主要な水平ライン(過去の高値やレジスタンス)をブレイクしているかも確認すると良いでしょう。
移動平均線の設定方法については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫移動平均線のおすすめ設定を取引スタイル・手法別に紹介!注意点も解説
安値圏でないかどうか
まだ下落の余地があるかどうかが、大陰線の翌日に陰線が出現するかに大きくかかわります。
したがって、安値圏で出現した大陰線でないかどうかを確認することも重要です。
現在価格が安値圏か高値圏かどうかを判断するためには、水平ラインを引いて過去の価格水準と比較することが基本です。
もし過去の高値水準で大陰線が出現している、または引いたサポートラインよりもまだ下落余地がある場合はさらなる下落の可能性が高まります。
また、オシレーター系インジケーターを併用してもよいでしょう。オシレーターが売られすぎを示していないのであればさらなる下落を期待できます。
RSIの設定方法については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫RSIの期間設定のおすすめは「14」なのか?複数の設定を比較しポイントを解説
なぜ下落したのかが裏付けられているかどうか
大陰線がどのような要因で発生したのかを確認することは、翌日のエントリー判断において欠かせません。
なぜなら材料に裏打ちされた下落は持続的なトレンドになりやすいからです。
例えば経済指標の発表や政策変更など、ファンダメンタルズに基づく悪材料があって下落したケースが持続的なトレンドになりやすい代表例の1つです。
ファンダメンタルズ分析が難しいという場合は、通貨強弱や出来高の増加の確認でもある程度取引根拠を強化できます。
ファンダメンタルズ分析のやり方や通貨強弱の確認方法については、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫【簡単4ステップ】ファンダメンタルズ分析のやり方を解説!役立つツールも紹介
≫【Fintokei対応】無料で使える通貨強弱インジケーターのおすすめ3選
大陰線を使ったトレードの損切り設定方法
前提条件がどれだけ揃っても大陰線の翌日は必ず下落するわけではないので、損切りの設定パターンも覚えておくことも重要です。
大陰線を根拠としたエントリーでは、主に以下2つの損切り設定をセオリーとします。
- 大陰線の半値
- 大陰線の始値や高値
半値はリスクリワードが大きく保ちやすい設定ですが、損切りラインが浅いためだましなどのノイズに引っかかるリスクがあります。
一方で始値や高値に設定する場合は損失を少し大きく許容する代わりに、利益確定となる可能性を高めることができます。
大陰線の半値
下落トレンドでは、一般的に半値戻しまでの上昇は戻り売りのチャンスと見なされます。
したがって、大陰線の実体部分の50%、すなわち始値と終値の中間価格に損切ラインを置きます。
しかしヒゲを含めると6割〜7割戻してから下落を再開するケースも少なくないため、ノイズに引っかかりやすいというデメリットもあります。
したがって、加えて以下2点の判断材料が整っているかも確認したうえで設定することをおすすめします。
- 半値付近に水平ラインやサポートラインが重なるかどうか
- 短期足チャートで下落のチャートパターンが形成されるかどうか
大陰線の始値や高値
大陰線を使った損切のもう一つの基準が、始値または高値に設定する方法です。
このラインを損切の目安とする最大の理由は、始値または高値を上抜けた時点で大陰線の売り圧力が完全に否定されたと判断できるからです。
特に高値は多くのトレーダーが意識する水準であり、ここを割り込むと買い注文が加速しやすくなる傾向もあります。
ただしこの方法は、半値に設定する場合と比べて損切り幅が広くなるというデメリットもあるためリスク管理が重要です。
大陰線を使ってFintokeiに挑戦する
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今回紹介した大陰線を活用した取引手法は、Fintokei公認のプロトレーダーになるために役立つでしょう。
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Fintokeiについては、以下の記事で詳しく解説しているのでぜひ参考にしてください。
≫プロップファームFintokeiとは?おすすめする理由や始め方を紹介!
まとめ
この記事では、大陰線の翌日に出現しやすいローソク足パターンや実際の相場で出現しやすい確率、さらには損切設定方法に至るまで詳しく解説しました。
実際の相場においてもセオリー通り大陰線の翌日は下落が続きやすいことが分かりましたが、一方で反転上昇するケースも少なくないので安易なエントリーは禁物です。
相場全体のトレンドや安値圏でないかどうか、そして下落の背景にある材料を見極めることが大陰線を活用した取引で勝率を上げる鍵となります。
今回ご紹介した損切設定の考え方も活用し、しっかりとリスク管理を行ったうえで、ローソク足から相場の流れを読み解いてみてください。
