資金管理の2%ルールとは?利用するメリットや実践方法を解説!
トレードで成功するためには、投資資金を管理すること、つまり資金管理は欠かせません。
投資資金を適切に管理し、リスクを最小限に抑え、利益を最大化することでトレードで長期的に成功できるのです。
「資金管理が重要といっても具体的に何をすればいいのか」
資金管理と聞くと上記のような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか?
資金管理と一言でいっても様々ですが、その中でも特に有名なのが2%ルールです。
2%ルールとは、1度のトレードの損失額をトレード資金の2%とするシンプルなルールであり、初心者から経験者まで誰でも簡単に利用できる資金管理方法です。
この記事では、資金管理でよく利用される2%ルールについて以下の5つの項目で詳しく解説していきます。
- 資金管理とは一体?重要な理由とは?
- 資金管理の2%ルールとは?
- 資金管理で2%ルールを利用するメリット
- 2%ルールを実践するための3つのステップ
- 2%ルールを実践する際の4つの注意点
資金管理とは一体?重要な理由とは?
トレードの資金管理とは、その名の通り投資資金を管理すること、つまりトレードにおける「お金の管理」です。
トレードでは、口座残高が頻繁に増減するため、投資資金を管理していないと、気が付かないうちに損失が利益を上回るという事態になりかねません。
トレードでは手法に注目されがちですが、長期的にトレードを継続していくためには資金管理は手法と同等、またはそれ以上に重要なのです。
資金管理の概要や重要性については以下の記事で詳しく解説しているので、是非参考にしてください。
資金管理の2%ルールとは?
資金管理の2%ルールとは、1度のトレードの損失額、つまり損切り額をトレード資金の2%以内に抑えるという、リスクを限定するための資金管理ルールです。
100%の勝率でトレードを続けられることはあり得ず、長期的には必ず損失を被る機会があります。
したがって事前に損失額を決めてリスク管理をすることが、トレードにおいては非常に重要です。
多少トレードで連敗したり、相場が急変動をしたりしても、安定したトレードを続けられる基準として、トレード資金の2%を1トレードの損切り額として設定します。
資金管理で2%ルールを利用する3つのメリット
資金管理で2%ルールを利用するメリットとして以下の3つがあります。
- 初心者でも理解しやすい
- 安定したトレードが可能
- 損失を取り返せる可能性が高い
それぞれのメリットについて詳しく解説していきます。
その1:初心者でも理解しやすい
1つ目のメリットは、2%ルールを使った資金管理の仕組みが非常にシンプルで、トレード初心者でも理解しやすい点です。
トレードで利用される資金管理方法には、難しい用語や数値を利用した、初心者には理解しづらい方法がたくさんあります。
一方で、2%ルールは1度のトレードの損失額をトレード資金の2%以内に抑えばいいだけなので、初心者がでもすぐに実践できる資金管理方法なのです。
その2:安定したトレードが可能
2つ目のメリットは、1トレードの損失額をトレード資金の2%と定めていると、たとえ連敗したとしても口座残高が大幅に減らないため、安定したトレードが可能となります。
確立した手法であっても、手法の期待値を最大限発揮するためには、多くの取引回数を重ねる必要があります。
損失を2%に抑えることで、試行回数を積むことができ、よりトレードの安定性を高められるのです。
また2%ルールでは、損切り額を事前に投資資金の2%と限定しているため、心理的な負担を軽減できます。
トレードは不確実性を常に伴いますが、損失額が限定されていると、メンタルを安定させて、冷静な判断ができるようになるのです。
≫トレードにおけるメンタルコントロールの重要性やメンタル管理法を解説
その3:損失を取り返せる可能性が高い
2%ルールでは、1度のトレードの損失額が2%とそれほど多くはないため、たとえトレードで何度も連敗してしまっても損失を取り返せる可能性が高いです。
100万円で2%ルールを実践した場合、5連敗するとどのような損益となるのか、以下の表で見ていきましょう。
トレード回数 | 資金 | 損失額 | 口座残高 |
---|---|---|---|
1回目 | 1,000,000円 | 20,000円 | 980,000円 |
2回目 | 980,000円 | 19,600円 | 960,400円 |
3回目 | 960,400円 | 19,208円 | 941,192円 |
4回目 | 941,192円 | 18,824円 | 922,368円 |
5回目 | 922,368円 | 18,447円 | 903,921円 |
トレード資金100万円で5連敗すると、口座残高は最終的に903,921円、約10%の減少となります。
2%ルールでは、損切りをして口座資金が減った場合も、口座残高に対して一定割合で損失額を計算するため、口座残高が減れば、その分損失額も減っていきます。
その結果、損失額を一定額として設定する資金管理方法よりも、より損失を取り返せる可能性が高いのです。
2%ルールを実践するための3つのステップ
資金管理の2%ルールを実際にどのように実践すればよいのか、以下の3つのステップに分けて解説していきます。
- エントリーポイントを見極める
- 損切り、利益確定位置を決める
- ポジションサイズを計算する
ステップ1:エントリーポイントを見極める
まずは取引を開始するタイミング、つまりエントリーポイントを見極めます。
エントリーポイントの見極め方は様々ですが、チャートやインジケーターなどのテクニカル指標、ファンダメンタル指標を参考にして期待値の高いエントリー場所を探しましょう。
≫テクニカル分析とファンダメンタル分析どっちを使うべき?使い分け方を解説!
ステップ2:損切り、利益確定位置を決める
エントリーポイントが決定したら、実際にトレードを始める前に損切り、利益確定位置を決めます。
特に損切り位置はリスクを限定するためにも、必ず事前に設定しておきましょう。
損切り位置の決め方が分からないという方は、チャート上で確認できる直近安値や高値を損切り場所として設定することをオススメします。
ステップ3:ポジションサイズを計算する
設定した損切り位置をもとにポジションサイズを計算していきます。ポジションサイズは以下の計算方法で算出可能です。
ポジションサイズ = 1トレードの損失額 ÷ 損切り位置までの値幅
1トレードの損失額の計算は2%ルールを使って計算します。例えば投資資金が100万円の場合、1トレードの損失額は2万円となります。
1トレードの損失額が計算できたら、損切り位置までの値幅で割ることでポジションサイズがわかります。
例えば、損切り位置までの値幅が50pipsでドル円をトレードする場合、1トレードの損失額は2万円を50pips(0.5円)で割った40,000ドル分がポジションサイズとなります。
そして算出したポジションサイズで実際にエントリーをします。
2%ルールを実践する際の4つの注意点
2%ルールは初心者でもすぐに実践できるシンプルな資金管理方法ですが、実践する際には以下の4つの点に注意が必要です。
- 2%ルールが必ずしも正しいとは限らない
- 損切りを決して先延ばしにしない
- リスクリワードレシオを意識する
- 複数ポジションの場合は合計で計算する
注意点1:2%ルールが必ずしも正しいとは限らない
2%ルールはあくまでも資金管理の一つの基準であり、必ずしも正しいとは限りません。
例えば、投資資金が100万円で2%ルールを適用すると、1トレードの損失額が2万円となりますが、2万円の損失額を多く感じる方もいるでしょう。
またデイトレードやスキャルピングのような短期売買では、1日で何度も取引をくり返すこともあるため、2%ルールであっても1日で大きな損失となってしまうこともあります。
上記のような感情を抱いたり、取引スタイルを採用する場合、損失額を2%ではなく、それ以下に設定する方が良いのです。
したがって、2%ルールはあくまでも目安であり、許容損失額や取引スタイルに応じて調整する必要があります。
注意点2:損切りを決して先延ばしにしない
2%ルールで定めた損切り位置は必ず守り、損切りを決して先延ばしにしてはいけません。
損切りを先延ばしにしてしまうと、そのポジションが思わぬ大損失を生み出す可能性があります。
トレードは長期的な視点を持って取り組むことが不可欠であるため、1度のトレードで取り返せないほどの損失を抱えてしまうことはあってはならないのです。
どうしても損切りが手動でできないという方は、ポジション保有時に逆指値注文を設定しておくことがオススメです。
注意点3:リスクリワードレシオを意識する
2%ルールを実践する際、利益と損失の割合であるリスクリワードレシオも意識するようにしましょう。
2%ルールは、損失から身を守ることに焦点をあてた資金管理ルールですが、利益を確定して初めて口座残高が増えるため、利益確定方法にも気をつける必要があるのです。
リスクと利益のバランスが取れたトレードを繰り返すことで、トレーダーは資金管理の効果を最大限に引き出すことができます。
リスクリワードレシオを高くしすぎると、利益確定が難しくなってしまい勝率が下がってしまうため、勝率もバランスのとれたリスクリワードレシオを設定するようにしましょう。
初めてリスクリワードレシオを設定する際は、まず2:1に設定し、勝率があまりにも悪ければ1.5:1などに下げていくか、手法自体を見直すことをオススメします。
≫トレードにおけるリスクリワードの重要性|計算方法や理想の値
注意点4:複数ポジションの場合は合計で計算する
2%ルールを活用したトレードで複数ポジションを保有する場合は、ポジションごとに2%ルールを適用するのではなく、すべてのポジションを合計して計算しましょう。
例えば、100万円の投資資金で既に1万円分のリスクを取っているとします。他のポジションを保有したい場合は、残りの1万円分のリスクでポジションサイズを計算します。
また、ポジションごとにリスクリワードのバランスが取れているかを確認することも重要です。
1つのポジションサイズが大きすぎる場合、それだけで全体のリスクが大きくなり、ポートフォリオ全体のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
そのため、ポジションサイズとリスクリワードのバランスを考慮しながら、全体のリスクを管理することが重要です。
まとめ
資金管理法で良く活用される2%ルールについて、概要から利用するメリット、実践するためのステップや注意点にいたるまで詳しく解説しました。
2%ルールは非常にシンプルな資金管理方法ですが、トレード初心者から経験者まで誰もが効果を期待できる資金管理方法です。
しかし2%ルールで定められている「トレード資金の2%」という数値はあくまで目安であり、トレードスタイルなどに合わせて調整しなければいけないことを忘れてはいけません。
資金管理においてとにかく大切なのは、損切り額をあらかじめ決めてリスクを制限し、一度決めたルールを守り続けることなのです。
2%ルールを一度実践してみてから、トレード結果を振り返り、数値を調整するようにしましょう。
また、2%ルールとともに利用される資金管理方法の1つである、ラリー・ウィリアムズの資金管理法について以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。